栗「小布施堂【栗の点心 朱雀】」【長野県小布施町】
ずっと食してみたかった「栗」に会いに行ってきました.オーライです.
「栗の点心 朱雀」を食べられるのは小布施堂本店、本宅、えんとつ広場の3ヶ所のみ.全国の小布施堂製品の販売店や取扱店ではいただくことができません.
「小布施堂 本店」
※【小布施堂 本宅】でいただきました※
営業時間:9:00~18:00
定休日:年中無休
イートイン席:有
テーブル席(全席指定、相席あり)
テイクアウトなし
住所:長野県上高井郡小布施町808
tel:026-247-2027
駐車場:有(商品の購入者用)
※朱雀を食べに来た方は近隣の有料パーキングを利用下さい
「小布施堂」といえば、徳川将軍家にも献上されていた「小布施栗」の産地である長野県小布施町の代表的な「栗菓子」店.積み重ねた「三つ栗の紋」が非常に印象的.
「小布施栗」は栗の品種ではなく小布施町で取れる栗の総称(ブランド名)で、品種としては「銀寄(ぎんよせ)」.国内の栗としては「筑波」に次いで2番目の栽培面積を持つ代表的な品種.ちなみに「丹波栗」も同じ「銀寄」が主な品種です.
店内の商品たち.
羊羹や栗鹿ノ子などの栗製品は通年商品として販売されていますが…
収穫したての「新栗」の商品はより魅力的です.
もちろん、栗の上生菓子もあります.
こちらも代表的なお菓子「奉書栗」.小布施栗のディスプレイが季節感を演出.
左奥、本店での「朱雀」提供場所の入口には案内が掲げられていました.
お店の外にも案内が掲げられていますように、2020年よりコロナ感染拡大防止のために「チケットペイ」を利用した「オンライン予約のみ」での提供となりました.
2021年の「朱雀」予約の案内とチケットペイのURLが掲載されています.
↓ ↓ ↓
2021年朱雀のご案内 | 栗菓子の小布施堂(オブセドウ)|信州 長野 小布施
※2021年は8月3日から予約開始されました.
「朱雀」だけでなく「栗おこわ」などの季節の料理に生菓子もいただける「本店の朱雀コース」もありますが、こちらの予約は瞬殺でした.
「朱雀」の提供は前述のように「本店」「本宅」「えんとつ広場」の3ヶ所ですが、オーライは「本宅のお座敷」でいただきたいと思っていました.
「提供時間」と裏庭の見える「席」の空き具合を見ながら予約しました.
予約受付が完了すると、チケットペイに登録したメールにチケット受取の情報(引換番号や発券期限など)が届きます.期限は申し込みから1週間.期限が過ぎたらせっかくの予約が無効になるので忘れないように早めにファミリーマートに向かうことをオススメします.
発券はファミリーマートのFamiポートで.システム利用料+発券手数料:220+110=330円税込.発券時に支払います.
このチケットは「座席確保チケット」ですので商品代金は現地での支払いとなります.
「本宅」「えんとつ広場」で食べる人の集合場所は「小布施堂 正門」.
「本店」の隣の「枡一市村酒造場」との間に「小布施堂 正門」があります.
集合時間はチケット記載の提供時間の10~15分前です.
ちなみに創業が古いのは「枡一市村醸造場」で1755年(今年で266年).「小布施堂」は1924年創業で97周年になります.100周年までもう少し.
「小布施堂 正門」には、正門(大扉)と通用門(潜り戸)があります.
お客さんは、チケット確認のスタッフさんのように、潜り戸を通って中に入ります.
別の回のちょうど案内を開始する直前くらいですが30名くらい並んでます.
(他のお店で休憩中に撮影しました)
正門前にはこんな感じで並んでいきます.
潜り戸を抜けたら右に向かい(大扉のすぐ裏に)2台ある券売機で食券を購入します.
その後、Famiポートで発券した座席チケットと食券を提示して確認してもらったら、本格的に邸内に入っていきます.
「栗の点心 朱雀」を提供する「本宅」と「えんとつ広場」、「モンブラン朱雀」を提供する「〇П(えんとつ)」が見えてきます.
「本宅」.誰の本宅か…というと「市村家」.市村家は小布施で酒蔵(現・桝一市村酒造場)を営む商家でした.その12代目・高井鴻山(市村三九郎)は葛飾北斎のパトロンとして創作活動や生活を支え、小布施の地にも3度招いたそうです.
町に遺した作品を収蔵した「北斎館」が建造されたのは1976年のこと.
この本宅でも北斎がお酒を飲んでいたかもしれませんね.
チケットで予約した席がココ.
席に食券を置いておいて下さいね.と言われるのでそのようにして…
少しお庭を眺めていると…
「朱雀」がすぐに運ばれてきました.
そりゃそうか、ここにいる皆の目的は「朱雀」ですし、お客さんの数もわかってますからね.どんどん運ばれてきます.
お待たせしました.本題の「朱雀」のご紹介をいたします.
小布施堂で最も有名な栗菓子の1つが、秋の名物「栗の点心 朱雀」.点心というと小籠包や餃子、焼売などをイメージしてしまいますが、元来は食事の間の食べ物のこと.間食、おやつ、軽食のことだと思えばいいですね.室町末期になると点心のうちの甘味類を「菓子」として分類するようになったようです.
つまりは「栗の菓子 朱雀」.「小布施堂」の公式HPの写真をお借りしましたが、これはもうなんとも美しい仕上がり.
とあります.元々、社長が蒸したばかりの新栗をどうにかお客様へお届けできないか?と考え出された「朱雀」.栗の本来の風味をスグに味わっていただくというこだわりから、出来立てを都度工場に取りに行くので、工場隣接の本店と本宅、えんとつ広場の3ヶ所のみでの提供となっており、もちろんテイクアウトも出来ない、こだわりの逸品.小布施町に来なければ食べられないので観光まちづくりにも一役買っています.
そのため例年は始発電車で訪れて並ぶといった行列必死の栗菓子でした.2020年にはコロナ禍で販売方法が変化し、ネットでの食事券の事前予約制となったことで遠方の人も食べやすくなりました.
蒸した栗を裏ごしした時点から水分と香りが抜け始めるので、このようにこだわった提供となっているのだと思います.オーライもぜひとも味わってみたいと思う一品でした.
純粋な栗のみでできていて、つなぎがないので切れやすく、モンブランの栗ペーストのように折り返して何度も往復できないのだと思います.そのため裏ごし器から細く一方向に絞られています.
「朱雀」 というネーミングも素敵ですよね.キトラ古墳の壁画「朱雀」の尻尾をイメージするような細くて束となった総(ふさ).折り返さないことでこんなにも美しくなるのか…と感じ入りました.
オーライに提供された「朱雀」はこちら.ほうじ茶付きで 税込 1,500円.
工場で蒸してすぐに裏ごしするから可能になる栗の総(ふさ).裏ごしした瞬間から水分が抜けていくので、少しでも時間が経ったら、こんなに綺麗に繋がった形には絞れない.
公式HPほど美麗で優雅な「朱雀」ではありませんが、動き躍動ある「朱雀」って感じ.
「栗の点心 朱雀」の「全景~箸で掬う」ところ を動画でご紹介します.
素麵のように1㎜ほどに細く絞られた栗が、文字通り山盛りになっています.
見慣れているモンブランに比べると、色が淡く薄いと感じます.それこそが栗だけしか使っていない証です.混ぜ物のない素朴で飾らない美しさ.
なかなか食べに来れない…と思っていろいろな方向から撮りまくりました.
今回もやりましたよ.iPhone採寸.中央のこんもりした部分が約10cm.高さも7㎝ほどあるので食べ応えあるボリュームです.
栗の和菓子ということで箸を使ってみました.箸でそっと挟んで掬い上げて口に運びます.食べたいと思って早3年…やっと食すことができましたぁ.
口に含む前から栗の香りが届きます.それは強い香りでなく、物静かに優しく香ってくる究極の栗の香.心が落ち着きます.
一たび口に含めば、栗そのものの甘み・渋み・風味が広がって感無量になりました.
その年の小布施栗の味を確かめてもらうという社長の想いから生まれた「栗の点心 朱雀」約30年続く秋の風物詩です.
この「朱雀」には一体、いくつの小布施栗を使ってるの? と調べてみると、小布施堂が仕入れている大きな小布施栗を15~20個使っているようです.それだけ使用していながら1500円というのは、かなりお値打ちです.
お値段よりも食べる権利を手に入れるのが困難…という感じですね.
ちなみに今年の「朱雀」提供期間は 2021年9月10日(金)〜10月17日(日) です. さらにちなむと昨年の「朱雀」提供期間は 2020年9月10日(木)〜10月18日(日) でした.
この崩れた姿すらも、松の枯れ落ち葉のように見えて、秋の風情を感じてしまいます.
初めのうちは栗素麺だけを食べて、今年の小布施栗そのものを味わっていました.
味がない…みたいに言われることもあるようですが、しっかりと栗本来の味がします.口に入れてもモンブランのように再結合してまとまってモゴモゴすることなく、落ち着く香りを放ちながら、栗独特の甘みと旨みを味あわせてくれます.
ここからは中に隠れている「栗あん」と合わせながら味わっていきます.
その日の朝から作られた出来立ての新鮮な栗あんに栗の総がかけられます.
この栗あんが絶品.まさに栗の風味が閉じ込められています.甘さがしっかりあるのにしつこさはまったく感じず、なめらかな舌触り.何とも上品な栗あんです.
一緒に食べると、水分の少ない栗素麺にとろみを添えて味に深みが出ます.小布施栗を堪能できます.
水分の少ない栗素麺を食べ進めると、口の中の水分を持って行かれるので「ほうじ茶」が一緒に提供されていますが、足りなくなる人が続出するのが常のようで、お代わりの入ったポットが近くに置いてあります.
栗素麺に栗あんの水分が染み込んでいます.栗素麺に水分が少ないのがよくわかる写真が撮れました.
2021年の新鮮な小布施栗を美味しく堪能させていただきました.
入れ替え時間にはまだ余裕があったので、本宅内を眺めていると印象的な栗の絵や…
ビートたけしさんの版画が飾られていました.
たけしさんの版画は多数ありました.
本宅から出る際に土間から1枚.別の部屋には書も飾られていました.
これにてオーライの「栗の点心 朱雀」旅は終了です.
まとめ
・小布施堂本店と本宅でしか食べることができない小布施栗「栗の点心 朱雀」.
・栗収穫の9,10月のみ、今、加工された栗あんと裏ごししたばかりの栗が、工場から直接提供される.
・今年の小布施栗の出来を確かめてもらえるように作られたお菓子.
・あまりにも素朴で素材の味そのものなので、美味しいと思わない人もいるかもしれない.味の複雑な仕上がりの美味しさなら「モンブラン」.でも、栗そのものの美味しさを深く味わいたいなら「朱雀」に軍配.
一度食べてみたかった…の気持ちが強くて「朱雀」を褒めすぎている感は自分にもありますが(笑)、間違いなく一生の思い出になる味でした.